唐突なんですけど、みなさんは一番古い記憶って思い出せますか
公園で家族と遊んでるところとか、誕生日を祝ってもらったとか、なんかそういうのってすごく憧れる
私の一番古い記憶は味噌汁についてなんですけど、あっちょっと待ってまだ帰らないで話を聞いて!
たぶん3歳ぐらいの記憶だと思う
うちの幼稚園は給食制で、お昼になるとお茶の入った薬缶がいつも机の上に置いてあった。お茶がほしい子は好きに取りに行って飲んでいいルールになっていた。わたしは水筒を持たされていたからあまり使うことはなかったと思う
“その日”は突然にやってきた
給食に味噌汁が出た。それ自体は別に変なことでもなんでもないのだが、私と同じ机に座っていた女の子がふと立ち上がってお茶を取りに行った
お茶を取りに行ったんだな、ぐらいにしか思わず私は味噌汁を啜っていた
それは一瞬の出来事だった
わたしの隣に座っていた普段おとなしい男の子が突然立ち上がり、その女の子に駆け寄ってビンタを食らわした!
何が起こったか全然わからなかった
普段おとなしい男の子がなぜこんなに怒っているのかもわからないし、目は血走ってて怖いし、なぜビンタなのかもわからないし、お茶はこぼれてるし、女の子泣いてるし
幼稚園の先生達も混乱しているようだった
そして男の子の次の一言で会場(チューリップ組のみんな)は度肝を抜くこととなる
「味噌汁あるんやから!!!!味噌汁があるんやから!!!!お茶はいらんやろ!?!?味噌汁飲んだらええやん!!!!!なんでお茶飲むん!?なんでそんなことするん!?!?!?」
気づけば男の子も泣いていた。泣きながら「なんでなん!?!?」とキレていた、女の子も「お兄ちゃんごめん………」と泣いていた。そこ兄妹だったんだ。知らなかった
お茶と味噌汁のこぼれた床で泣きつづける兄妹、オロオロする先生たち、それを見ながら私は思った
いや、味噌汁あってもお茶飲んでいいだろ
これが私の一番古い記憶です
あまりにもしょうもなくて悲しい。もっとぬくもりのある記憶がよかった
当時は言葉を知らなかったから気づいていなかったけど、今思えばあれが私の「理不尽」という感情の芽生えだったのかもしれない。
味噌汁とお茶同時に飲んだからって理由でビンタされるの理不尽すぎる
大抵の幼稚園児って「楽しい」とか「悲しい」って感情で動いていると思うんだけど、「理不尽」って感情を持ってる幼稚園児、すごく嫌だな 友達いなさそう
とにかく強烈なインパクトを残した事件だった。大人になって思い返すとめちゃくちゃしょうもないけど
というか味噌汁は塩分多いし喉乾くの当たり前ですよね
終わりです
執筆:み〜たん