『はじめての彼氏』BAKENEKOのパソコン屋

 

 

はじめての彼氏

 

 

 

 

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 今年の誕生日に23歳になった私は、周りが結婚ラッシュに入ったことで焦りを感じるようになりました。それをきっかけに、婚活を始めようと思い至りました。
 しかし、職場は8割女性で、かといって残り2割の男性はパソコンインストラクターという職業柄、皆個性が強くて恋愛対象としてみることが出来ませんでした。私自身も個性は強い方で、≪身体を動かすことが好きな二次元オタク≫それが私の職場での印象でした。
そんな自分でもなんとか好きな人が出来ないか、ネットを駆使して調べていたところ、≪婚活アプリ≫なるものを見つけ、≪Pairs(ペアーズ)≫というアプリにたどり着きました。
 そのアプリは、男性の詳細なプロフィールや顔写真などをわかりやすく確認でき、お互い気軽に連絡がとれるマッチングサービスでした。
もうこれしかないと思った私は、早速登録をして年齢の近い男性とやり取りをするようになりました。しかし、私と趣味が合いそうな方は皆さん総じて会話があまり成立しない方が多く、心が折れそうでした。
 アプリを初めて3日後に、隣の県に住んでいる24歳の男性が私に連絡をくださいました。
 その方はとても紳士的で、写真でお顔もしっかり確認できて私の一番の趣味である同人活動にも理解を示してくださいました。その方とは、毎日連絡を取るようになり、お互いに直接会うことになりました。県で一番大きな駅で待ち合わせをして、すぐ近くの喫茶店でお互いの自己紹介や趣味、仕事の事などを話しました。相手の方は、正社員になったばかりの営業マンで、コーヒー豆を売る仕事をされていました。もともと喫茶店が好きなこともあって、熱意の籠った仕事のお話は、仕事好きな私にとってとても共感のもてるお話でした。
 そこで、よりその方の事を心から信用できるようになりました。
 (この人なら、私の事を好きになってくれるかもしれない。)
 そう思った私は、会う回数を増やし喫茶店巡りやドライブに出かけ、そして1か月後に腫れてその方から、
 「結婚を前提にお付き合いしてください!」
 私は、素直に「はい」と返し晴れて恋人同士になりました。これが、私にとって生まれて初めての恋が実った瞬間でした。
 しかし、恋人同士になった私達は3か月後に別れていました。
 相談に乗ってくれた友達も家族も、なぜそうなったのかを私に問い詰めました。
 それは、付き合うようになってすぐの事です。彼といつものように遠出をしている最中でした。何気なく視界にパチンコ屋が目に入った私達は、入口で朝早くから並んでいる行列が見えました。するとあの人は、とても冷たい声で
「ああいう朝から並んでる奴らはクズだな、みっともない」
 そう言ったんです。
 それを聞いた瞬間に、私の中であの人の良い印象が一気に崩れました。
 (もしかしたら、好きで並んでる人もいるかもしれないのに……なんでそんな酷いことを言えるんだろう。)
そう思ってから、あの人が話す言葉の中にさりげなく含まれる知りもしない他人に対する暴言が、私の胸に突き刺さるようになりました。
 道行く人や、すれ違う人に対して、
 「あんな服装ありえないね!見てて気持ちが悪い」
 「あれ絶対碌な奴じゃない、犯罪者面だった」
 そして、最後には…
「お前の両親は信用できない」
 限界でした。まだそんなに詳しく両親の事を話していないのに、なぜそこまで私の大切な人達を否定されなくてはならないのか。最後の言葉が私の恋心にトドメを刺したのは明白でした。
こんなにいい人なのに、なんてもったいない。なんとかできないだろうか。そう思った私は、あの人に思いのままを伝えました。
 「暴言はよくないよ?よく知らない人の事を悪く言ってるところは私は見たくない。」
 「……そう、でも俺は生きていくのに今のままで苦労してないから直すつもりはないよ。」
 その言葉が、別れるきっかけでした。
 この経験のおかげで、世の中には様々な男性がいることを知った私は、また新たな出会いを求めて婚活を前向きに頑張っています。できることなら、次に出会う人は他人にも優しく出来る人がいいなぁと思いながら、画面を見つめているのです。

 

 

 

おしまい

 

 

 

執筆者紹介

BAKENEKOのパソコン屋

休みの日などは、ボクシングやバドミントンでダイエットをしています。
食べることが大好きなので、減ったと思ったらあれ?(;´∀`)なんてこともあります。
皆さまどうぞ、よろしくお願い致します(*^▽^*)

 

 

 

 

 

 

 

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