『のぼうの城』CINEMA REVIEW~「この男の奇策、とんでもない!」

 

writer/K・Kaz

 

 今回は、邦画『のぼうの城』のレビューをおとどけします。
 まずは、ストーリーからご紹介します。

 

STORY

 

 

 天正18年(1590年)、天下統一を目指す豊臣秀吉は、関東一円を支配する豪族・北条氏の討伐に乗りだします。腹心の石田三成を総大将とし、2万の軍勢を与えて北条氏を討つように命じます。
 北条氏本拠である小田原城、その周りにある北条方の22の支城は、そんな大軍に攻められてはひとたまりもないと震え上がるのでした。
その中の一つ、忍城(おしじょう)では、城主・成田氏長(なりた うじなが)の従兄弟で「でくのぼう」を略して『のぼう様』と呼ばれて、領民からも親しまれていた成田長親(なりた ながちか)が、領内の水田で田植えをニコニコしながら眺めていました。
 しかし、長親は、急に氏長から城に呼び戻されます。行ってみると、氏長は長親に城を任せ、戦に加わるために小田原城に向かうところでした。しかし、実は氏長は豊臣方に寝返る決心をしており、城を離れる前に密かに「速やかに開城せよ」との言葉を長親たちに残していたのでした。
 氏長の言葉通りに開城するつもりの長親でしたが、忍城を訪れた秀吉側の武将・長束正家の、相手を馬鹿にしきった態度や、
「甲斐姫を秀吉に差し出せ」
 という要求に激怒し、
「開城はせぬ、戦場で相見える!」
 と戦をする決断をしてしまいます。最初は渋っていた家老の丹波、家臣の和泉・酒巻も段々と乗り気になり、領民達も説き伏せ、豊臣軍2万人対のぼう軍580人の戦いがはじまるのでした。

 


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REVIEW

 

 この作品の魅力は、何と言っても「のぼう様」こと成田長親を演じた野村萬斎さんのハマりっぷりです。
 戦のような物騒なものはまっぴら御免と言う顔をしながら、到底かなうとは思えない秀吉軍に喧嘩を売るほどキモがすわっていて、
「のぼう様が決めたんじゃぁ、仕方がない」
 と家臣や領民たちが納得してしまう人望をもっている、曲者中の曲者を見事に演じ切っています。
 いつも冷静な家老・丹波、腕自慢の家臣・和泉、戦で名を上げることを夢見る若武者・酒巻などを一つにまとめ上げる器を持った人物として。また、敵の一手も二手も先をゆく、大悪人が愚鈍なお人よしの仮面を被っているような底知れないしたたかさ。それらが、萬斎さん演じる長親の仕草や喋り方などから伝わってきます。

 また、秀吉からは信頼されながら、その真っすぐすぎる性格と実戦経験の無さから周りの武将からは軽んじられている石田三成も、これまでの冷酷で融通の利かないイメージが覆り、新鮮味がありました。
 2万人対580人の差は圧倒的です。しかし、秀吉側は、苦も無く他の支城を降伏してきた驕りで気持ちにゆるみがあります。
 そのスキを突き、人望と地の利を駆使して、敵の大軍を翻弄するやり方は、合戦や歴史が好きな人も納得できる見事な展開だと思いました。

 

  本作品の評価は星4つとさせて頂きます。

 

K・Kazのこの映画の評価4

(本ブログでの、レーティング評価の定義)

☆☆☆☆☆(星5) 93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5) 92点
☆☆☆☆(星4) 83点~91点
☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3) 69点~79点

 

 

執筆者紹介

K・Kaz

石川県在住の男性です。

週末には、映画を5~7本ペースで観ていらっしゃるそうです。

にゃんマガの淀川長治とは、この方のことです。

アカウント名kitamotoで、ショートストーリーもアップロードしています。

 

 

 

 

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