『レインコートのオトコ』さくらいづる

レインコートのオトコ

 

さくらいづる

 

仕事をしていると、皆様も、いろんなへんな人に遭遇することがあるかと思います。
これまでいろんなへんな人に遭遇してきましたが、そのなかでも、今回は、わたしがコールセンターで働いていたときのことをお話します。
そのコールセンターでは、通販受付業務などをしていました。そこにしょっちゅう電話をかけてくる、有名なオトコがいました。みんな、「レインコートのオトコ」とそのヒトのことを呼んでいました。
そこで働いていた先輩の話によると、
「雨の日以外はぜったいにかけてこないんだよね、レインコートのオトコ」
とのこと。
つまり、「レインコートのオトコ」は、雨の日にばっかり電話をかけてきて、晴れの日や曇の日には、いっさい電話をかけてこないのでした。
通販で商品を販売している会社なのに、天気が関係あるのでしょうか?
もちろん関係ありません。
「レインコートのオトコ」がお天気を気にしているのは、そしてとくに雨の日が大好きみたいなのは、その変態さんが、とんでもないレインコートフェチだからなのです。
「レインコートのオトコ」が電話をかけてきて、コールセンターの男性や年配の女性が、 「お電話ありがとうございます!」
と対応に出ると、すぐに切られてしまいます。
若い女性(もしくは、声が若そうな女性)が電話に出ると、「レインコートのオトコ」は電話を切らないで、質問をつづけてきます。
「お姉さんは、雨の日はレインコート、着ますか?」
え? レインコート?
「着ません」
と返答すると、「レインコートのオトコ」は、そこでガチャリと電話を切ります。
でもそのときに、若い女性が、
「レインコート、着ますよ。」
と答えると、「レインコートのオトコ」は、なぜかその女性が着用するレインコートの色や柄、長さなどの細部を、しつこく訊いてきます。
そしていろいろとレインコートについて根掘り葉掘り聞いたあと、最後に、
「レインコートって、ペラペラしてるから、ハダカが透けそうで、恥ずかしくありませんか?」
と自分で聞いて、だんだんと興奮がきわみに達してきたかのように、
「ハァハァ」
しはじめます。「ハァ、ハァ、ハァ」
もしかして君は、雨の日に、若い女性がハダカでレインコートを着ている姿を想像して、興奮してるのかい?
なんか、そういう想像で興奮できるのもおもしろいと思いますが、やっぱり、気色悪くもあります。
変態の世界って奥が深いわね。とへんなところで考えさせられた一件でした。
もちろん、私はレインコートは、
「着ません」

 

実際、対応した女性は、「レインコートのオトコ」が興奮しはじめると、
「……ご注文のお電話ではないようなので、切らせていただきますね」
ブチ。とやってました。
ざんねんながら、わたしは、「レインコートのオトコ」と話したことはないのですが、もし話す機会があったら、こう答えてあげようと考えていたセリフがあります。
「脱いだらスゴイと言われてますので、べつに恥ずかしくありません」
そう答えて、「レインコートのオトコ」を黙らせる機会がなくて、ざんねんに思っています。。。
 

 

執筆者紹介 

さくらいづる

星座占いなどの記事も書いているライターです。

 

 

 

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