大切なことは全部マツケンサンバが教えてくれた
宇納みか
マツケンサンバ
言わずと知れた名曲であり、パラパラと並ぶ中毒性を持ったハチャメチャおもしろダンスである
ぶっちゃけマツケンが誰なのかよく知らなかったし、どこがどうサンバなのかは今でもよくわからないけど、とにかく「マツケンサンバ」というものは当時小4の私を魅了してやまなかった
テレビをつければマツケンサンバ、スーパーのBGMはマツケンサンバ、とにかくどこもかしこもマツケンサンバという全盛時代
友達と話していてもすぐにマツケンサンバの話題になってしまうし、教室の誰かが「オ・レ!」などと言おうものなら爆笑が巻き起こるレベルでマツケンは世間にウケていた
今でもちょっと面白いなと思う
そんな中、運動会の4年生の出し物がマツケンサンバに決まった
担任の先生からそのことを告げられた瞬間のクラスの盛り上がりは半端なかった
例えるなら次のオリンピックはJAPAN開催!と決まった時のウォオーーーッッってなってる会場のアレみたいだった
更に、金と銀のポンポンが配られ、これを持って踊るのだと先生は言った
会場(4-2)のボルテージは最高潮に達した
金と銀というのは折り紙でも特別な扱いを受けているし、色鉛筆でも金と銀を持っているやつは羨ましがられていた
それぐらい子供というのは金と銀が好きなのである。それに加えてマツケンサンバだ
もう最高、どうにでもして、と言った気持ちだった
一方、上級生からは恨み言を言われた
なんで4年生がマツケンサンバをやるんだ、上級生の俺たちがやるべきとのことだった
何を言われても構わない、先生たちが4年生にマツケンサンバを躍らせると決めたのだから
「自分が金と銀のポンポンを持ってマツケンサンバを踊る」……そう考えるだけで最高の気分だった
私は毎日休むことなく、学校でも家でもマツケンサンバを踊り続けた
あの時私は完全にマツケンになりきっていたし、なんならマツケンよりもマツケンサンバを踊っていたのではないだろうか
そして日々は過ぎていった
気づくと私は疲労骨折していた
自分でも信じられないと思った、そんなことってある?
疲労骨折ってアスリートとかがなるやつじゃないのか
でもレントゲンは嘘つかない
足がパッキリ折れてた
病院の先生に「何かスポーツをやりすぎたとかありますか?」と聞かれたので正直に「マツケンサンバを…」と答えると、
「もうマツケンサンバを踊るのはやめなさい」と真顔で言われた
そんな!先生!!私……マツケンサンバをどうしても踊りたいんです………!!!4-2のみんなで踊りたいんです!!!なんとかなりませんか!!!!!
「ダメです」
練習のしすぎで怪我して本番に出られなくなるって、バスケとかサッカーだったらめちゃくちゃシリアスシーンなのに、マツケンサンバだからただの間抜けな小学生だった
その日の夜に布団に入ると、部屋の隅に置いてある金と銀のポンポンが目に入ってきて、マツケンサンバを思いながらひっそりと泣いたのを覚えている
そして運動会当日、私は医師の指示を破ってマツケンサンバを踊った
めっちゃ足痛かったけど、気持ちは晴れやかだった
青春漫画の主人公になったような気持ちだった、マツケンサンバだけど
なんであんなに夢中になっていたのかは今では全く理解できないけど、マツケンサンバは何事もほどほどに、という教訓を私に与えてくれた
ありがとうマツケンサンバ
ところで「オ・レ!」ってどういう意味なんだろう
「マンボ!」とかもよくわからない
知ってる人がいたらおしえてください
終わりです
執筆者紹介
宇納みか
文才、カリスマ性、判断力、芸術性。
甘く見た者は、痛い目にあう。
そのうち彼女の実力を思い知るようになるだろう。(編集部記)
からあげ世界 is beautiful(宇納みか記)
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