サキちゃんマン
私の高校２年生のころのお話です。季節は、夏でした。
私は毎日、家から高校まで、片道４０分ほどかけて、自転車で通っていました。
坂の上にある高校は、行くだけでも汗ダラダラでした。運動部で汗っかきだった私は、なるべく汗をかかないようにと、夏の時期は、早朝の涼しい時間に家を出ていました。
ある日、いつものように、７時前には家を出ました。そして、通学先の高校に向かっていると、前方４０メートル先ぐらいに、なんと猿がいたんです。
たしかに、私の住む地域はすごく田舎です。そして、サルの目撃情報もよく聞いていました。でも、実際に遭遇したのは、はじめての経験でした。
とても驚きました。一瞬で頭をフル回転させ、猿への対処法をいろいろ考えました。
猿と出会ったら、
「目を逸らしてはいけない」
とか、
「叫んではいけない」
とか、私の地域では以前から教わっていることでした。それは大切な教えであると思いました。なので、確実にその「教え」を守らないと、猿にどんな目にあわされるか、わかったものではありません。シバかれる、どころではないかもしれません。町なかで猿に出会って、暴行された、なんてことになったら、私の未来はお先真っ暗だと思いました。お嫁にも行けなくなるかもしれません。
ドキドキしながらも、自転車に乗ったまま、
「目を逸らしてはいけない」
と念じながら、猿をじっと見つめてサーーーーっと近づいていきました。
そして、
「叫んで」もいけません。私と猿はにらめっこをしながら、どんどん近づいていきました。
20メートル、10メートル、5メートル…
すると、猿だと思っていたのは、茶色い服を着たおばあさんでした( 笑 )
私は、猿に暴行されずに、無事学校までたどり着くことができました、という話です。
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