『ショーシャンクの空に』CINEMA REVIEW~「人の心には誰にも奪えない何かがある。”希望”さ。」

映画レビュー


ショーシャンクの空に [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

 

writer/K・Kaz

 

今回は洋画「ショーシャンクの空に」を紹介したいと思います。(一部、ネタバレあり)

 

STORY

 

 アンディ・デュフレーンは、妻とその不倫相手を殺した容疑をかけられ、逮捕されます。
 無実を主張したものの信じてはもらえず、終身刑の判決を受けてしまいます。そして、ショーシャンク刑務所に収監されることになります。
 この刑務所では、ノートン所長や、暴力的な主任刑務官が絶対的な権力を振るい、囚人たちを支配していました。
 刑務所に入れられて以来、誰とも話すことなく過ごしていたアンディが最初に声をかけたのは、日用品やタバコなど、何でも手に入れる”調達屋”レッドでした。
 アンディと同じ終身刑を宣告されたレッドは、二十年以上もこのショーシャンクで服役していますが、仮釈放の見込みはいっこうにありませんでした。

 レッドと知り合ったアンディは、少しずつ刑務所の生活になじんでいきます。
 やがて、銀行の副頭取だったアンディは、警備主任の相談に乗ったのをきっかけにその実力を認められ、刑務所長をはじめとした刑務官全員の会計係や、資産運用をつとめるようになります。
 また、粘り強く政府にかけ合って、刑務所の図書館を改装・充実させてゆきます。

 そして、19年の月日が流れたとき、ショーシャンク刑務所に、トミーとうコソ泥がやって来ます。
 彼はアンディを慕い、助力を得て、高校卒業資格を取ることに成功します。
 それだけでなく、アンディの無実を証明する重大な話をするのでした。

 

REVIEW

 

 無実の罪で刑務所に入れられたアンディが、希望と人間性を失わずに逆境に立ち向かい、荒んだ囚人たちの心をつかんでゆく物語です。

 物静かだけど、知的で不屈の魂を持ったアンディも魅力的です。
 しかし、レッドは、その上を行っているように思えました。
 彼にはアンディのような知識はなくても、まわりの空気を読む力は人一倍で、“調達屋”としてうまく刑務所を生き抜いています。
 興味深かったのは、そんなレッドにとって塀の外は、恐怖の対象だということでした。 刑務所に入って40年。
 長いあいだ刑務所に入っていた人間が、外の世界に出たとたん、冷たく厳しい社会にさらされ、押しつぶされ、自殺した仲間を何人も知っているからです。
 仮釈放を決める仮釈放評議会の委員たちと面談している様子が何度も出てきますが、レッドは同じことを繰りかえします。まるで、
「どうやれば外に出ないで済むか」
 を知っているようでした。刑務官や塀の外の世界が、社会からはみ出してしまった罪人を潰す恐ろしさを描いているとも思いました

――ここまでが、最初に観た時の感想です。

 

 しかし、最近になってもう一度この作品を観た時、別の考えが浮かんできました。

「もし、アンディが本当は殺人を犯していたらどうなる?」

 例えば刑務所にやって来た最初の夜、凶悪な犯罪者さえ泣き出すような牢獄の暗闇の中、アンディはレッドの予想を裏切って平然と過ごします。

 また、刑務主任の相談に乗り仲間たちにビールをふるまうように取り計らったり、図書館を改装したり、囚人たちに高校卒業資格を取らせたり、刑務官に殴られ独房に行くのを覚悟で、「フィガロの結婚」を所内の放送で流したりしたこと、すべては囚人たちの信頼を得る行為に思えます。
 一方、敵対する者や、自分を裏切った者には必ず報復しています。

「どんな逆境のなかでも揺るがない意志」

「信頼してくれる仲間には恩恵を。裏切り者には制裁を」

「違法な金の流れを管理し洗浄する頭の良さと、芸術を愛する教養」

「時には自分の手を汚すことも辞さない、法を超えた倫理観と心の奥底にある凶暴性」

「社会からはみだした者に誇りと安息の地を与える」

それらの事から連想するのはマフィア。それもドンやゴッドファーザーと呼ばれるような大物です。

 

 アンディの妻と愛人が殺害された夜の場面は断片的で、アンディが本当はどのような行動をしたかは分かりません。アンディが捨てたと言っていた銃は発見されず、実際に使われたかどうかは不明。
 のちにアンディの妻と愛人を撃ったと話した人物が現れますが、何発撃ったかまでは言っていません。

 

もしも、アンディが撃たれて虫の息の二人のとどめを刺したとしたら?

妻は死んでいたけれど、愛人の方はアンディが殺したとしたら?

真面目だったアンディが殺人によって一皮むけて胆が据わった「ドン」になったとしたら・・・と考えると、この物語は全く違って見えてきます。

 

また別の見方もできます。

 

 粘り強く、若くして銀行の副頭取になるほど計算高いアンディが、無実の罪で投獄されたとしたら、何を差し置いても再審請求の手紙を出し続け、あらゆる手を使って新たな証拠を探すのが普通の筈。
 なぜ、囚人や刑務官達に取り入り、刑務所を住みよい所にするようなことの方に力を注いだのでしょうか?

 

 もしかして、アンディは刑務所に居続けたい理由があったのでは?

 もしかして、妻(ついでにその愛人)を殺した犯人、または犯人を知っている囚人が刑務所にやって来るのを待ち続けていたのでは?

 離婚を切り出されても、アンディは妻を愛していたように見えます。全てを捨てて、囚人になってまで真相を知ろうとしていたのでは?

 

 そう考えると、この作品の、
「人の心には誰にも奪えない何かがある。”希望”さ」
 と言うキャッチコピーも、レッドの、
「刑務所内では囚人は様々な事をして気を紛らわせる。そうしなけば押し潰されて狂ってしまう」
 という言葉も、もっと別の意味があるように思えてきます。

 

 本作品の評価は星4.5とさせていただきます。色々な角度からの見方があるものの、結末の爽やかは秀逸で心の底から気持ち良くさせてくれる珠玉の名作です。

 

 

K・Kazのこの映画の評価4.5

 (本サイトでの、レーティング評価の定義)
☆☆☆☆☆(星5)93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5)92点
☆☆☆☆(星4)83点~91点
☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3)69点~79点

 

 

監督/フランク・ダラボン
製作国/アメリカ合衆国
公開/1994年9月10日
上映時間/143分
キャスト/ティム・ロビンス
モーガン・フリーマン

 

 

 

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