『チューバはうたう』(瀬川深/作)小説レビュー~「ならば、私が、吹いてやる。」

 

 

writer/にゃんく

イラスト/よと。

 

 

瀬川深先生は、1974年生まれの小説家です。本業は、小児科医でもあります。
2007年、「チューバはうたう」で第23回太宰治賞を受賞しています。

瀬川深先生には、にゃんころがりmagazineに、オリジナル小説作品『レニの光芒』をご提供いただいております。

以下、瀬川深先生のデビュー作『チューバはうたう』のレビューです。(いつもながら上から目線の生意気なレビューですが、瀬川先生に原稿を依頼する前に書いたレビューをそのまま掲載しております。)

 

 

STORY

 

背が高いという理由だけで中学生の頃、ブラスバンド部でチューバ担当を命じられてしまう主人公の「私」。チューバは大きくて重いので、母から「もうすこし女の子らしい楽器にすれば良かったのに。」と言われます。

 

しかし、チビで小太りの男の子の先輩に指導されるうち、私はチューバの魅力に目覚めはじめます。
高校では嫌らしい男に言い寄られたことから、部活動は辞めてしまいますが、社会人になっても高価なチューバを購入し河川敷でひとりチューバを掻き鳴らす日々。


そんなある日、インディペンデントのクラリネット弾きだという黒帽子をかぶった男にスカウトされ、バンドの一員となります。


仕事の合間を見て、バンドの公演活動に加わりますが、外国の音楽祭にひょんなことからそのバンドが招待されます。

私はこのまま会社を辞め、またとないこの機会に外国でバンド活動をするかどうかで悩みます。

 

REVIEW

 

とてもいい作品だと思います。

言葉に力があるので、読みやすく、イメージ力がありました。

例えば、「ドラムが咆哮した」、だとか、「クラリネットが光りの速さで空をかけのぼり」、「チューバがファンファーレを奏でる。それが狼煙となって」、など。


太宰賞の受賞の言葉で著者は文学に齧り付いた頃はカフカが好きだったと述べていますが、逆にこの作品はあまり文学っぽいところがありません。

 

爽やかで軽やかなイメージがあります。

でも、バックボーンとして、好きだったというカフカなどの作品がこの著者の血となり肉となっているのかもしれないなと思いました。


ぜひ皆さまにも読んでもらいたい作品です。

感動しました。

 

 


チューバはうたう―mit Tuba

↑こちらからご購入できます。

 

 

 

レビュー執筆者

 

にゃんく

にゃんころがりmagazine編集長。X JAPANのファン。カレーも大好き。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です