今回は、映画「ミュージアム」のレビューです。
writer/K・Kaz
STORY
ある雨の日、無残な女性の死体が発見されます。
どうやら縛り付けられて、生きたまま大型犬に食い殺されたらしいのです。
現場からは、「ドックフードの刑」と言うメモが見つかるものの、捜査は難航します。
そして、次の雨の日に、体中を切り刻まれたニート男の死体が発見されます。
そこには、「母の痛みを知りましょうの刑」と書かれたメモが残されていました。
現場近くでは、カエルの被り物をして、雨合羽を着た人物が目撃されていました。
被害者二人の関係を探るうち、どちらもかつて世間を震撼させた「少女樹脂埋め殺人事件」の裁判員をしていた事が判明します。
しかも、その時の裁判員の一人は事件の捜査員、沢村刑事の妻でした。
奇しくも、捜査に没頭する余り、家族をないがしろにしていたという理由で、沢村の妻は息子を連れて家出していました。
行方が分からず、連絡も取れない妻を血眼で探す沢村達をあざ笑うかのように、事件の裁判官や裁判員が次々と惨殺されてゆきます。
REVIEW
とにかくカエル男が、これでもかと神経を逆なでしてきます。
殺し方も残酷で、人を殺すことを楽しんでいます。
言動も常に偉そうで、容赦なく人を挑発してきます。
逃走の際に乗っていた車のナンバーが「59-63(ご苦労さん)」になっているなど、人を食った態度が容赦ありません。
被害者が事件の裁判官や裁判員なので動機は復讐かなと思っていたら、もっと身勝手な、胸が悪くなるような理由からでした。
何やらネットの向こう側から顔も名前も出さずに批判したり犯罪者を断罪したりする人々を連想してしまいました。
何とか妻と息子を守ろうと、捜査から外されながらも事件を追い続ける沢村でしたが、だんだんと追い込まれて常軌を逸してゆく様子がリアルに描かれています。
肉体的にも精神的にも、極限状態になりながら、妻子を守るためにカエル男から出される要求に従ううち、どんどん心が壊れてゆき、却ってカエル男と同化してゆく様子に圧倒され、恐ろしくさえなりました。
思っていた以上にスピード感があり、最近の邦画には珍しいほど過激な展開で、一気に引き込まれる作品でした。
沢村役の小栗旬さんの迫真の演技も良かったです。
人によって好き嫌いはあると思いますが、僕は結構気に入りました。
評価は星4とさせて頂きます。
↑ご購入はこちらから
製作国/日本
公開/2016年10月8日
出演者/野村周平、小栗 旬ほか
監督/大友 啓史
上映時間/2時間 12分