『犬神家の一族(横溝正史/作)』小説レビュー

 

横溝正史(作/*蜜柑工房*)

 

 

有名な推理小説です。作者は横溝正史(1902~1981)です。

76年には『犬神家の一族』は映画化もされていて、爆発的横溝ブームが到来しました。雑誌『キング』に1950年から1951年まで掲載されました。

本の帯には、『怪奇と論理が見事に融合した本格推理の傑作。―有栖川有栖』とあります。

 『犬神家の一族』はシリーズ物でして、ファイル1からファイル20まである作品のうち、『犬神家の一族』はファイル5に当たります。他に有名なところでは、ファイル1の『八つ墓村』があります。

主人公は名探偵・金田一耕助です。本の末尾には、「呪われた名家、美しいヒロイン、完璧な密室、・・・そして殺人の美学ーー日本ミステリー界の巨匠横溝正史が生んだ、名探偵金田一耕助が挑む難事件の数々。」とあります。

 

<あらすじ>

終戦後のある日、日本の生糸王といわれる犬神佐兵衛(さへえ)が亡くなります。

佐兵衛は生前、自分が築き上げた莫大な財産の相続について、遺書を残していました。

 

佐兵衛の家族関係はかなり入り組んでいて、正式の妻は持たず、松子、梅子、竹子という三人の女性を妾としていました。
そして、その三人がそれぞれ子供を儲けていましたが、死後相当の時間が経過した後に犬神家のお抱え弁護士のような人がその遺書を発表したところによると、何故か佐兵衛は自分の血の繋がりのある松子、梅子、竹子の子供にはほとんど財産を相続させるつもりはなく、血の繋がりのない野々宮珠世などの主筋の子孫に当たる人物に大方の財産を相続させようとしているのでした。

 

そうして、松子や梅子、竹子の子供たちが少しでも多く財産の分け前にあずかるためには、遺書で有利な立場に置かれた珠世などを殺さなければならないように仕組まれていました。

つまり、犬神家の人達は遺産相続のためにお互いを殺し合い、憎み合うように仕向けられているのでした・・・。

 

 

 犬神家の三種の神器である「斧・菊・琴」にまつわる呪いの言葉とおりに殺されていく犬神家の遺産相続権者たち、誰が犯人か最後まで分からない展開など、楽しませてくれます。

 

お互いに殺しあうように仕向けられているところなど、(厳密に言えば、『犬神家の一族』では、殺しを犯しているのは一人の人物ですが)何処となく「バトルロワイアル」や貴志祐介の「クリムゾンの迷宮」を思い出しました。こういうストーリーは、確かに作品を引っ張っていく牽引力がありますし、緊張感も生まれます。読者をハラハラドキドキさせる効果もありますよね。

 前半の不気味さ、面白さは凄いと思うのですけれど、どうでしょうか? 後半、話がややこしくなり過ぎているような気がしないでもありません。

 

 すこし笑ってしまうのは、金田一耕助ですね。何故か警察署長が、金田一耕助の推理を神様の言葉か何かみたいにありがたく拝聴しているところが、ちょっと現実ではあり得ないことなんですが、当たり前のように書かれているのが面白く思いました。
他のシリーズでもそうなんでしょうか?

警察が入手した最新の情報を、何処の馬の骨とも知れない一探偵にすぐ教えるところが、すこし面白かったところです。

 

5000万部以上売り上げているこのシリーズ。一度読まれてみてもいいかもしれません。

 

writer/にゃんく

 


金田一耕助ファイル5 犬神家の一族 (角川文庫)

 

↑ご購入はこちらから

 


犬神家の一族 角川映画 THE BEST [DVD]

 

↑DVDはこちら

 

冒頭の、横溝正史の似顔絵は、蜜柑工房♪さんが描いてくれました。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です