『阿頼耶識銀行不可思議モノガタリ』

第壱情  1話

独りで ため息をつきながら

トボトボと家へと帰る…

「はぁ…今日も変わらない日常が

過ぎただけだったな…」

一人の青年が家に着いて

自室のベッドに頭を

もたれかけさせながら

そう呟いた

 

 

彼の名前は…佐藤 太郎

平凡で よくあるような名前のように

平凡で 孤独な人生を送る高校生だ

 

 

孤独といっても クラスメイトであり

幼馴染である少女  鈴木 サクラとだけは

繋がりを 持っているが 彼女は

交友関係が 広く 高校に入ってからは

遊ぶ機会も かなり減っていて

疎遠気味である……

 

 

そんな少女に青年は 

幼き頃から恋をしているが 告白は

一度もしたことがなく 思春期に

入ってから さらに 目を合わすことさえ

気まずく感じるようになった

 

 

それは彼にとっては苦痛であると同時に

退屈に過ぎず 非凡であること、

彼女と 恋仲になること そして何より

人との繋がりを 強く欲していたのだが…

 

「やっぱり…僕には無理だな。

他の子と違って、全然…変われないや

友達なんかも全然 できないし

好きな人に告白さえも できない」

 

とても内向的で暗い考えの

持ち主である故に変われずに

悩んでいたのだ…

 

 

「…これからも、

ずっと このままなのかな…

それなら、いっそのこと…」

 

彼は何を思い詰めたのか縄で

輪をつくり、天井に くくりつけた

…そう、彼は今から 

自殺しようとしてるのだ

 

 

「…生まれ変わり…?

なんてものが あるかは分からないけど

次の人生では 友達なんかに

恵まれるといいな…」

そう1人で呟き、

縄で首を吊ろうとしたその時……

 

 

【お客様、ホントに それで

よろしいのですか?】

 

 

 

 

 

突然、青年の背後から 声が掛かった

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