小説レビュー『トリツカレ男』いしいしんじ


トリツカレ男

 

 

 男のあだ名は、トリツカレ男。

 

 彼は何にでもとりつかれてしまう。

 

 サングラス集め、三段跳び、オベラ・・・。

 

 けれど、最後にとりつかれたのは、ペチカという女の子への愛だった。

 

 それからというもの、彼はペチカの風船売り場の場所取り交渉をギャングとやったり、ペチカの母親の病院へ行って、喘息の治療の方法について御教授したり。挙げ句の果てには、ペチカの好きな死んだ男の真似までやってしまう。

 

 彼の献身的な行動は愛するペチカのためにやっていることなのだが・・・。すこし、ズレている。

 ラスト、何にでもとりつかれていたトリツカレ男は、・・・というお話です。

 

 

 読みやすく、爽やかな読後感があります。

 

 童話ふうの語り口が、非現実的なストーリーを膨らませていて、子供の頃を懐かしく思い出します。

 

 


トリツカレ男

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