小説レビュー『余白の愛』小川洋子~幻想的な雰囲気にひたりたい時にお勧めの作品~

 

 

STORY

 夫が家を出て行った次の日から突発性難聴を患うことになる「わたし」の物語です。

 難聴が治ったと思った次の日、わたしはある雑誌の座談会に招かれます。その座談会は、いかに難聴を克服したかということをテーマに、患者さんの話を聞くというものでした。

 わたしはそこでYという速記者と出会います。

 わたしはすらすらと一文字も漏らさず速記するYの指に魅了されます。

 やがてわたしとYは再会し、個人的にわたしが喋ったことをYが速記していくという関係を持つことになります。


しかし、Yが記載する特別な柔らかい速記用の用紙が無くなる時、わたしとYの関係は……。

 

 

REVIEW

 部屋の中をジャスミンの花で満たそうとする侯爵の話とか、魅力的なエピソードがかなりあります。

 ただ耳を患っているだけなのに、これだけ日常の世界を違ったものに見せる力量はさすがだと思います。夢の中の世界を切り取ったような不思議な感触のする作品です。

 後の「博士の愛した数式」に繋がるものがあるように思います。

 村上春樹などが好きな人にはかなり楽しめそうな気がします。

 

 


余白の愛 (中公文庫)

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