『ザ・ロック』映画レビュー~「『ザ・ロック』へようこそ―― 」

 

今回は、洋画『ザ・ロック』を紹介したいと思います。

writer/K・Kaz

 

STORY

 

ある日、軍の化学兵器保管庫が襲われ、猛毒のVXガスが奪われます。その数日後、サンフランシスコ沖の島にある観光地・アルカトラズ刑務所(通称 ザ・ロック)に突如軍隊が降り立ち、観光客やガイドを人質にとってしまいます。

部隊を率いていたのは、元アメリカ海軍のハメル准将。要求は現金1億ドル、これが受け入れられない場合は、VXガスを積んだロケットをサンフランシスコに撃ち込むとアメリカ国防総省を脅迫したのでした

FBIは特別捜査官で化学兵器のスペシャリスト、グッドスピードに、アメリカ海軍特殊部隊SEALsへ同行して島に潜入し、VXガスを処理するよう命じます。

しかし、ザ・ロック内は複雑に入り組んでおり、潜入するのは困難でした。

そこで、脱獄不可能と言われたアルカトラズから只一人逃げ出し、現在は刑務所に幽閉中の元イギリス情報局秘密情報部部員・兼SAS大尉、ジョン・パトリック・メイソンに協力を求めました。FBIに陥れられた過去を持つメイソンは当初協力を拒みましたが、グッドスピードはメイソンの信頼を勝ち取り、2人はSEALsと共にザ・ロックへと潜入します。

メイソンの案内で刑務所内に入り込んだグッドスピードたちでしたが、ハメルの罠にはまってSEALsは全滅してしまいます。

なんとか生き残ったメイソンとグッドスピードは、最初は逃げ出そうとしますが、サンフランシスコがVXガスの標的になっていることを知って思いとどまります。

残してきた家族を守るため、二人は協力してVXガスを無力化することを決めるのでした。

 

REVIEW

 

メイソンは英国のスパイでしたが、任務中にFBIに捕えられ、家族と引き裂かれてしまったことを恨んでいます。

しかも、任務中に奪って隠したマイクロフィルムには政府の重要機密が記されており、隠し場所はメイソンしか知りません。

FBIにとってメイソンは目の上のたんこぶ、長年のアンタッチャブルな存在でした。

加えて、長い間の幽閉にもかかわらず、メイソンの身体能力は衰えておらず、話し合いのために数時間外に出しただけで、警備のスキをついて脱走してしまうほどです。
アルカトラズに潜入する際や、刑務所内を占拠している軍隊を翻弄する時も、その戦闘能力はいかんなく発揮されます。

メイソンを演じるのはショーン・コネリーですが、かつて007も演じた体のキレ、危機に瀕しても屈しない鋭い目の輝きはさすがでした。

対して、FBI捜査官のグッドスピードは、毒ガスの知識があるだけで銃もロクに打ったこともなく、常に泣き出しそうな表情のヘナチョコです。

しかし、家族を想う真っすぐな気持ちと、土壇場の勇気、裏表のない義理堅さは本物で、そこにメイソンも感銘を受けて協力することを決めるのでした。

もう一つの見どころは、敵であるハメル准将の人柄です。彼は従来のように私利私欲のためにテロを起こす冷酷な犯罪者ではなく、海軍の英雄です。

人望もあり、高い誇りを持った立派な軍人でした。しかし、かつて非合法作戦に従事していたハメルの部下たちは、敵に包囲された末に見殺しにされていました。しかも、その事実は公表されず、勲章も遺族への賠償金も支払われず、葬儀もされていなかったのです。ハメルは、再三の訴えにもまったく耳を傾けなかった議会や政府に怒り、やむを得ず実力行使に出るしかなかったのです。要求した1億ドルも遺族へ渡す補償金とするつもりで、自分のことは全く顧みていません。

刑務所内にSEALsが侵入した時も、ハメルは降伏のチャンスを与えて最後まで攻撃を躊躇します。人質を取って犯罪に手を染めながら、軍人としての誇りを忘れない、背筋がピンと伸びるような気概に満ちた態度や表情が印象的でした。

 

似たようなアクション作品は幾つもあります。しかし、元スパイの老人と化学オタクのFBI捜査官という異色のコンビが何度もピンチに直面しながら、ギリギリのところで逃げ切って、VXガスを搭載したロケット奪還しようとするスリリングなストーリー。プラス、家族愛と軍人魂のぶつかり合い、そしてグッドスピードとメイソンのあいだに徐々に出来てゆく信頼が、この作品を硬派で魅力的な、頭一つ抜け出たものにしてくれています。

この作品の評価は星4つとさせて頂きます。

K・Kazのこの映画の評価4

 

監督/     マイケル・ベイ
製作国/アメリカ
公開/1996年
出演/ニコラス・ケイジ
ショーン・コネリー
エド・ハリス
上映時間/135分

 


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執筆者紹介

 

writer/K・Kaz

石川県在住の男性です。
週末には、映画を5~7本ペースで観ていらっしゃるそうです。

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