writer/K・Kaz
今回は、現在劇場公開中の韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』をご紹介したいと思います。
STORY
ヘッジファンド・マネージャーのソグは仕事が忙しく、娘のスアンとも時間もとれない日々を過ごしています。
ある日、別れた妻のもとにスアンを送り届けるため、一緒に特急列車KTXに乗り込みます。
KTXは何の異常もなく発車したように思えました。しかし、実はホームでは人が暴れまわっていると騒ぎが起こっていました。そして、その人ごみの中から発車直前のKTXに駆け込んだ女性が一人いたのです。
発車してしばらくすると、ソグは眠ってしまいました。スアンはトイレに行きたくなり、ソグを起こさないようにして席を離れました。トイレはどこも閉まっていて、やっとたどり着いた時、すぐそばでは悲鳴が上がっていました。発車直前に飛び込んできた女性の様子がおかしくなり、近くにいた乗務員にかみついたのです。そして女性は、次々と周りの人たちを襲いはじめました。
その頃、眠っていたソグは、スアンがいないことに気が付き、探しはじめます。
そして、やっと見つけた時、スアンはゾンビ化した乗客たちに追いかけられていました。そして、途中でスアンを助けてくれた男・サンファと妊娠中の妻・ソンギョンがまだ逃げきれていないことを知りながら、車両のドアを閉めてしまいました。結局思い直してドアを開けますが、男に文句を言われても、
「スアンと自分を守るためだった」
と開き直るだけでした。
そして、軍隊が待つ駅で降りることが分かります。すぐに知り合いの軍人に連絡してみると、駅で降りた後は隔離されることが分かりました。そこで自分と娘が開放してもらえるように便宜を図ってもらいます。
そして、KTXから降りた後は、指示された通りに他の乗客とは別の出口から出ようとします。
ところが、外はすでにゾンビ化した人たちでいっぱいでした。待っていた軍人たちも、すでに襲われてゾンビ化しており、乗客たちに襲いかかってきました。
あわてて列車に引きかえしたものの、スアンとは離ればなれになってしまいます。しかし、遠く離れた車両のトイレに隠れていることが分かりました。
この非常事態の中、ソグはこれまで仕事にかまけて娘との時間を作ってやれなかったことを後悔していました。そして、必ずスアンを助け出そうと、野球部員のヨングク、スアンと一緒にいる妻を助け出したいサンファンと共に感染者だらけの車両を強行突破する決心をしたのでした。
REVIEW
ノンストップで走る高速列車・KTXの中で、人々が次々に感染して襲ってくるというシチュエーションが斬新な作品です。
敵は、襲い掛かって来る感染者だけではありません。生き残った乗客の中には、感染を恐れるあまり、しばしば助けられたかもしれない人を見捨てようとする人もいます。
ソグですら、自分と娘さえ助かればいいと思っています。スアンがおばあさんに親切にしたり、自分たちだけ助かろうとするのは嫌だと言ったりすると、
「他人の事なんか放っておけばいいんだ!」
とまで言い放ちます。
そして、時としてその姿勢が間違いではない場合もあります。感染してしまった身内を見捨てることができず、被害が拡大してしまうこともあります。そういう非情な面も描かれています。
勿論、感染していない人も負けてはいません。ナイフも銃もない状況で、素肌をさらさないようにガムテープを巻き付け、バットや棒を手に感染者に立ち向かってゆく姿は勇敢そのものです。
特に、妊婦の妻を思いやるサンファは、
「この人は元傭兵か?」
というほどに強いです。
そして、娘のことで悩むソグに、シブい助言をくれたりもします。もしかしたら、主人公のソグよりもカッコいいヒーローかもしれません。
本作品の評価は星3.5とさせて頂きます。
登場人物はこの非常事態を通して自分の大切なものが何かに気付いてゆきます。スピード感に溢れたパニック・アクション映画ですが、そういうジンと心に打つ要素もある作品です。
K・Kazのこの映画の評価3.5
- (本ブログでの、レーティング評価の定義)☆☆☆☆☆(星5) 93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5) 92点
☆☆☆☆(星4) 83点~91点 - ☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3) 69点~79点
監督/ヨン・サンホ
製作国/韓国
公開/2016年
出演/コン・ユ
チョン・ユミ
マ・ドンソク
上映時間/118分
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writer/K・Kaz