『阿頼耶識銀行不可思議モノガタリ』

第壱情 2話

 

「え?あなたは…誰?」

 

振り向くと 謎の古風で 

和洋折衷な感じの服を着た

男性が立っていた。

 

【ワタシですか?ワタシはアナタです。】

と、青年の前に立つ 男は述べた

 

「あ、あの…意味が

よくわからないのですが?」

 

青年は 困惑した様子で 周りを

観察した…すると、 さっきまで居た

家とは別の場所に自らが居て

そこは まるで 銀行のようだと思い

死と生の間際なのだろうかと 考えた。

 

【分からなくても、結構ですよ。

ちなみにですが、ココは

死後の世界というわけでも 

生と死の狭間でも ございません。

それより…ほんとに それで 

よろしいのですか?】

 

「良いって 何がです?」

 

【アナタは、先ほど 自ら命を絶って

人生を終えようとしました。

ですが、ほんとに それが 

アナタの望みなのですか?】

 

男の指摘に 青年は 言葉を詰まらせ

自らの拳を強く握って 反論した

 

「…っ。 良いわけないじゃないですか!

僕だって 死にたくて 

死のうとしたわけではない…

こんな人生が いやだから…

独りだから….変われないから 

リセットしようと したんですよ!」

 

青年は涙を流しながら 頭を抱えて

泣き崩れた。

 

すると、男は 優しい声で

耳元で こう囁いた

 

【そうですか…でしたら、

アナタに貸すのに相応しい品があります。】

 

「…どういうこと……ですか?」

 

【おっと…..その前に 言い忘れていましたね

ようこそ ヒトの心にまつわるものを

取り扱う 阿頼耶識銀行…

通称  アカシックバンクへ。】

 

そう言いながら、手を差し伸べて

青年を立ち上がらせた

 

「阿頼耶識銀行…?

変わった名前…いや、聞いたことない

名前ですね…。それより…心に

まつわるものを取り扱う というのは…?」

 

青年は 疑問を口にした

 

【答えるのは よろしいですが

立ち話もなんですから お茶でも

飲みながらに しませんか?】

 

そう言われたので 青年は

阿頼耶識銀行 窓口とプレートに

書かれた席へと座ることにした

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