『RE:BORN リボーン』映画レビュー~英雄が歴史の教科書に出てくる姿をしているとは限らない

writer/K・Kaz

                  

     
 今回は、邦画『RE:BORN リボーン』をご紹介したいと思います。(一部ネタバレアリ)

 

STORY

 

 

 かつて、非合法で、遂行困難な作戦を引き受ける最強の傭兵部隊がありました。しかし、特殊訓練の最中、その部隊は突然に壊滅してしまいます。そして、その存在は抹消されてしまいました。

 そして現在、北陸地方の片田舎、石川県加賀市でひっそりと暮らす一人の男がいました。男の名は黒田敏郎。コンビニで働きながら、少女サチとひっそり暮らしています。

 

 ある日、敏郎が住む町で不可解な殺人事件が起きます。やがて敏郎とサチの周辺にも不審な男達の影がチラ付き始めます。

 じつは、敏郎はかつてコードネーム「ゴースト」という最強の傭兵でした。しかし、任務の残酷さに嫌気がさし、自分が所属していた部隊をたった一人で壊滅させたのでした。その後、過去を捨て、湧きあがる殺人衝動と、鍛え上げられた戦闘技術を封印して生きてきたのでした。

 そして、敏郎を狙っていたのは、壊滅させた部隊の指揮官・ファントムでした。町で起こる殺人は、ファントムが敏郎を追いつめる作戦の一環で、裏切り者への宣戦布告でもありました。

 仕事場や路上で突然襲ってくる刺客を倒していた敏郎ですが、隙をついてサチを誘拐されてしまいます。それは、ついに敏郎が本性を解き放って「ゴースト」に戻る時でもありました。

 

 
REVIEW

 

  CGなど映像技術の発達により、アクション映画の幅は広がり、スケールの大きな映像が次から次へと作られるようになりました。実写だけでなく、アニメーションでも見ごたえある戦闘シーンが多く描かれるようになりました。

 しかし、映像技術がいくら発達しても、この「RE:BORN リボーン」は作れないと思いました。格闘技の鍛錬を何年も積み、技を極め続けた人たちにしかできない映像の連続でした。

 

 主人公の敏郎は、銃はほとんど使わずナイフと拳で敵の傭兵を次々と倒してゆきます。

肩や肩甲骨をくねくねと揺らしながら相手と対峙する独特の戦闘スタイル、一瞬で相手にとどめを刺すその素早さ、流れるような身のこなし、どれをとっても人間業とは思えないほどの超一級品でした。

 

 主演の敏郎役のTAK∴(坂口 拓)をはじめとして、格闘シーンを演じる出演者のほとんどが、格闘やアクション、スタントの訓練を積んできたプロ中のプロ人たちばかりだそうです。
そうでなければ、あれだけ息つく暇もないほどに手に汗握り、目が離せない映像は出来ないと思いました。

 

 また、敏郎がサチを守ろうとして戦うような、単なる善人として描かれていないことも面白いところです。

 敏郎の心は、今でも戦場にあります。心理カウンセラーに、自分は人を殺すことに罪悪感はないとも告白しています。
自分を襲ってきた傭兵たちを返り討ちにした後で、レンジで温めた弁当を平然と貪り食ったりします。

サチや友人たちには優しいけれど、敵には容赦せず、人を殺しても何も感じない、獣のような本性を持ち合わせていることがうかがい知れます。

 敏郎もファントムも、戦闘の中でしか心の平静を保てない者たち同士なのです。
その二人が命懸けでぶつかり合う雰囲気が、この作品の迫力を倍増させているように思います。

 

  本作品の評価は星4とさせて頂きます。

 

 過去、その後のアクション映画に大きな影響を与えるような作品がありました。
クリスチャン・スレーター主演の「リベリオン」、東南アジアの格闘技・シラットを一躍有名にしたインドネシアの格闘映画「レイド」、強くてかっこいいカンフー映画を復活させた「イップマン」などがそうです。

今は知名度もそれほどはありませんが、この「RE:BORN リボーン」もそんなターニングポイント的作品の一つになりそうな素晴らしい作品だと思いました。アクション、特に格闘映画が好きな人には是非観て頂きたい作品です。

K・Kazのこの映画の評価4

 

(本ブログでの、レーティング評価の定義)

☆☆☆☆☆(星5) 93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5) 92点
☆☆☆☆(星4) 83点~91点☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3) 69点~79点

監督/下村勇二
製作国/日本
公開/2017年
出演/坂口 拓
斎藤工
篠田 麻里子
いしだ 壱成
上映時間/106分


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writer/K・Kaz

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