『外事警察 ~その男に、騙されるな~』CINEMA REVIEW~「公安が人をだます時の目だよ」


外事警察 その男に騙されるな [Blu-ray]

 

writer/K・Kaz

STORY

東日本大震災の影響で、立ち入り禁止区域に指定された東北の大学から、ある重要なデータが盗み出されていたことが判明します。調査にあたった政府職員の頭に不安がよぎります。
その事件から5ヶ月後、今度はCIAから北朝鮮のウランが日本に持ち込まれたという情報が持ち込まれます。盗まれた「重要なデータ」とは、原子力関連部品の製造方法でした。点と点が線で結ばれます。このデータとウランがあれば、核爆弾を作ることが可能となるのです。
「日本は今、核によるテロの危機にさらされている」
その事実に日本政府は戦慄し、内閣官房長官・村松久美より、すぐに対策をとるように命令が下されます。警察庁警備局長の倉田は、警視庁公安部外事第4課作業班長・住本健司を呼び戻し、捜査に当たらせます。住本はまず韓国に渡り、北朝鮮の核開発の第一人者であり在日二世の科学者、徐昌義の行方を追いました。徐を見つけ出した住本は、彼の死んだとされる娘が日本で生きていることを明かし、共に日本に帰るよう説得します。

一方、住本の部下たちは、奥田貿易という会社の社長・金正秀に目をつけます。金は二年前に日本人女性と結婚して日本国籍を取得し、現在は奥田正秀と名乗って生活をしていました。さらに、金が日韓を行き来して密輸を行っていることが判明し、住本たちは、彼が一連の事件に関係していると断定します。
そこで「協力者」として正秀の妻・果織に接触し、彼女の過去や秘密をネタに脅して自分に加担するよう迫ります。
果織は一人娘と今の生活を守るため、仕方なく夫を裏切り住本に着くことを決めるのでした。

 

REVIEW

公に出来ない任務の多い公安内部にあって、特に容赦ないやり口で「公安の魔物」と言われる住本。
彼の使命は、核の脅威から日本の国益を守ること。そのためには、手段を選びません。監視対象者のみならず、スパイに仕立て上げる「協力者」の身辺を調べ上げて弱みを掴み、脅しや嘘、買収、暴力を容赦なく使って情報を盗み、人を陥れ、何としてでも国家に害をもたらすものを排除します。夫の身辺を探ることになった果織も、住本によって過去の秘密を探り出され、人格が変わるまでに追い込まれてゆきます。

住本もその部下も、人を利用し脅しても表情一つ変えず冷静です。諜報活動と言えば「007」のような銃撃戦やアクションが思い浮かびますが、外事警察の仕事のほとんどは、監視や盗聴で派手さはありません。
しかし、それだけに何処にでも入り込めそうで「本当のスパイ活動の現場はこんな感じなんだろうな」とリアリティーを感じました。

本作品の評価は星4とさせていただきます。

 

特にどんなに優しい言葉を口にしようが目が笑っていない住本は、まさに「魔物」という感じです。その冷酷な表情から、常識や倫理など通用しない謀略戦の凄まじさが垣間見えました。

 

K・Kazのこの映画の評価4

(本サイトでの、レーティング評価の定義)
☆☆☆☆☆(星5)93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5)92点
☆☆☆☆(星4)83点~91点
☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3)69点~79点

 

 

 

監督/堀切園健太郎
製作国/日本
公開/2012年6月2日
上映時間/128分

 

 

 

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