『この世界の片隅に』CINEMA REVIEW~「わたしは ここで 生きている」

 

 

writer/K・Kaz

 

 

今回は、アニメ作品『この世界の片隅に』のレビューをおくらせていただきます。
女優・のんがアニメーション映画初主演をつとめています。
ある理由があって、『海賊とよばれた男』と『この世界の片隅に』は、あわせて見ていただきたい作品になります。

 

STORY

舞台は戦時中の1944年(昭和19年)です。
絵が得意な少女浦野すずは、広島市江波から呉の北條周作のもとに嫁ぎます。
戦争で物資が不足する中、家事全判が苦手でのんびりとしたすずは、義理の父母に温かく見守られ、不器用ながらも懸命に日々を暮らしていました。
義理の姉・黒村勁子も、夫に死なれ、嫁ぎ先と折り合いが悪いせいかカリカリしながら時々帰って来てすずに辛く当たる事もありますが、心の底ではすずを大切にしようとも思ってくれているようでした。
夫なった周作は優しく、好きという感情も湧いてきて、二人で暮らせることが、すずには幸せでした。
配給が減っても野草を摘んだり、近所の人に聞いて知恵を絞りながらささやかな暮らしを守ろうとしますが、軍港である呉はたびたび空襲を受けるようになり、1945年(昭和20年)6月、すずも空襲後の不発弾(時限爆弾)の爆発で右手首から先を失います。
見舞いにきた妹のすみから、お祭りの日に帰ってくるよう誘われますが、その当日8月6日、呉では閃光と轟音が響き、広島方面からあがる巨大な雲を見ます。
8月15日、ラジオで終戦の詔勅を聞いたすずは、全ての辛い事が無駄に終わってしまったと泣き崩れますが……

 


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REVIEW

 

戦争中の、ごく普通の女性の1年半が描かれています。
戦争中とはいえ、元来がのんびり屋で、おっちょこちょいのすずの周りには笑いがあり、色々な事が制限される中で、それでも少しでも明るく楽しく生きてゆこう、大好きな周作と寄り添って生きてゆこうとするすずの姿に、温かい気持ちになります。
しかし、戦争は残酷で、冷徹で、色々なものを破壊し、人の心や生活までボロボロにし、幸せは一枚また一枚と剝ぎ取られるように消えていってしまいます。
戦争が終わっても、失われたものが戻ってくるわけではありませんでした。
しかし、そんな中でも全てが無くなった訳ではなく、布切れで破れた服に継ぎをあてて直すように、いびつで格好が悪くても、戦火を潜り抜けて生き残った人達が寄り添いあって、少しずつ幸せを持ち寄りあってまた新しい日々を歩き出してゆく。そんな物語でした。
主人公のすずは少し夢見がちだけれど、そのやさしい心根や温かい日々の出来事が共感しやすく、それだけに段々心が荒んでゆく姿を見ているのは辛いほどでした。
どんな大義があろうとも、戦争は多くの人生を破壊し取り返しがつかなくしてしまうのだと思いました。

偶然ですが、前記の「海賊とよばれた男」を見て暫くしてから本作「この世界の片隅に」を見たので二つの世界が繋がっているような、お互いがサイドストーリー同士のような、同じ時代の別の場所で起こっていた話を見ているような、不思議な気分になりました。久しぶりにまた機会があればゆっくり見てみたいと思うので、本作は星5を付けさせて頂きたいと思います。
原爆教育の一環として、学校などでも見てほしいくらいです。

 

 

 

K・Kazのこの映画の評価5

 

(本ブログでの、レーティング評価の定義)

☆☆☆☆☆(星5) 93点~100点
☆☆☆☆★(星4,5) 92点
☆☆☆☆(星4) 83点~91点
☆☆☆(星3) 69点~82点)

 

 

 

 

原作/こうの史代の漫画作品『この世界の片隅に』
製作国/日本
監督/片渕須直
公開/2016年11月12日
出演者/のん
細谷佳正
稲葉菜月ほか
上映時間/128分

 

writer/K・Kaz

 

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