『シン・ゴジラ』映画レビュー~「荒ぶる神か?! 進撃する脅威の存在」

 

writer/K・Kaz

 

STORY

 

東京湾アクアラインが崩落する事故が起きます。
政府は海底火山の噴火が原因として事を収めようとします。
ところが、湾上には崩落の原因と思われる地点で水柱が確認され、中から巨大生物が出現します。
官房副長官・矢口や閣僚たちが対策を決めかねて、右往左往している間に、自らを進化させながら、巨大生物はまっしぐらに都心を目指して突き進み、多大な被害を出して、突然海に消えます。

 

政府が対策を検討する中、アメリカからやってきたオブザーバー・カヨコ=アン=パターソンの要請で、この巨大生物(ここでゴジラと呼ぶ事が決められた)の秘密を知ると思われる、原子力学者の消息を探しますが、東京湾上で所有していたクルーザーが無人で発見されただけでした。
そんなある日、ゴジラが再び姿を現します。その姿は以前よりも巨大になっており、人々の恐怖は増大するばかりです。
そしてついに、自衛隊による攻撃が開始されますが、ヘリや戦車による集中砲火では、ゴジラに傷さえつかず、米軍の爆撃機によるミサイル攻撃が開始されます。

 

上空から放たれたミサイルは、ゴジラの背中に命中し、傷をつける事には成功したものの、その直後に、ゴジラは怒り狂って体をさらに変形させ、口や背中から光線を出して辺りを攻撃し、街は瞬く間に破壊されていきます。
やがて、力尽きたようにゴジラは静止します。
ところが、首相をはじめ避難中だった閣僚のほとんどは、孤児らの攻撃に巻き込まれて死亡してしまっています。

矢口を中心に、各分野のスペシャリストを集めて結成されたゴジラ対策チームは、必死にゴジラの体の謎を解明し、薬品により体を動けなくする凍結作戦を進めます。

 

が、ゴジラの被害が日本を飛びだして、世界各地にまで及ぶことを恐れた多国籍軍が、核による攻撃を決定してしまうのでした・・・。

 

 

REVIEW

 

作品タイトル「シン・ゴジラ」の「シン」には、「神」や「進」などの色々な漢字を当てはめる事ができます。
ゴジラを荒ぶる神と見る人もいれば、進撃する脅威の存在と見る人もいます。
または、これまでのシリーズで、人類の味方の様に描かれてきたゴジラのイメージを覆し、原点に立ち返った真のゴジラという意味にもとれます。
本作には、これまでのゴジラシリーズのように、対抗する為の秘密兵器も、激闘を繰り広げる敵となる怪獣も登場してきません。
「もし本当にゴジラが出現したら」というリサーチを入念に行い、政府の対策会議や、自衛隊の攻撃をリアルに描いているため、臨場感があって、手に汗握りながら作品の世界に入り込む事が出来ました。

 

突出したヒーローが、先頭に立ってゴジラに立ち向かうのではなく、様々な分野の人々が協力してゴジラを倒す作戦を進めるという展開も、新鮮で現実味があり、面白かったです。
庵野監督の代表作「エヴァンゲリオン」の戦闘シーンとも似通ったところがあるように思ったので、監督のアニメのファンだという人にも楽しめる内容になっています。
ちょっとネタバレになりますが、劇中でゴジラが食事などをしなくても、空気中からエネルギーを取り込んで活動できる存在であることが明かされます。

 

つまり、ゴジラは破壊の権化であると同時に、夢のエネルギー源ともなりうる存在なのです。

核攻撃で消滅させようとしながら、一方で、あわよくば捕獲研究してエネルギー問題で一歩リードしたいと言う思惑も見えて、「あざといなぁ~」とニンマリしてしまう場面もありました。
またそれは、重要なエネルギー源でありながら、一旦暴走すると、周囲に甚大な被害をもたらす原子力も連想させます。
そして、ゴジラの襲撃に逃げ惑う人々や、ゴジラに立ち向かう対策チームは、東日本大震災の被災者や、救助や復興で必死に奔走する政府や自衛隊の姿を基にして描いていたように思えました。

 

今、シン・ゴジラがヒットしている理由は、リアリティを追及したストーリー展開の面白さも勿論あるでしょうけれど、それに加えて
「突然の災害に襲われ、放射能の脅威もある中、人々は逃げ惑い、政府は効果的な対策を打ち出せない。自衛隊も後手に回るばかり。しかし、そんな中でも必死に何とかしようとする人は確かに存在し、立ち向かう術は必ずある」
という隠れたメッセージが、現実の災害で打ちのめされている日本人の心をつかみ、勇気づけているからではないでしょうか。

(2016年10月17日記)

 

 

K・Kazのこの映画の評価4

(本サイトでの、レーティング評価の定義)
☆☆☆☆☆(星5)93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5)92点
☆☆☆☆(星4)83点~91点
☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3)69点~79点

 

 

 
シン・ゴジラ DVD2枚組 DVD

↑ご購入はこちらから

 

執筆者紹介

 

writer/K・Kaz

石川県在住の男性です。
週末には、映画を5~7本ペースで観ていらっしゃるそうです。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です