『祈りの幕が下りる時』映画レビュー~「人殺しなんですよ、私。」

今回は、現在劇場公開中の邦画「祈りの幕が下りる時」のレビューをお送りします。

writer/K・Kaz

 

STORY

 

1980年。
仙台のスナックに、一人の女が雇ってほしいとやってきます。
自分のことは、
「田島百合子」
という名前しかあかさず、訳ありな身のうえだとは知りながら、ママは彼女を雇うことに決めます。
すぐに百合子は人気が出ます。
そして、10年がたち、突然に百合子は病気で死んでしまいます。
ママは何とか身寄りを探し、ようやく10歳の時に別れたきりの息子を探し出します。その息子こそが、警視庁捜査一課の刑事・加賀恭一郎でした。加賀は自分と父を捨てたあとの母について知るため、ゆいいつ親密な関係だったという常連客・綿部俊一を探しだすことを心に誓います。
そして数年が経ちます。
ある日、東京都葛飾区小菅のアパートで、腐敗した絞殺死体が発見されます。死体の身元は、滋賀県在住の押谷道子。
アパートの住人は姿を消し、住人と押谷の接点は見つからず、滋賀県在住の押谷が東京で殺された理由もわからず、捜査は難航。
それでも加賀は粘り強く捜査を進め、押谷が中学の同級生で演出家の浅居博美をたずねて東京にやってきたことを突きとめます。
そして、押谷が殺されていた部屋にあったカレンダーに、
「1月:浅草橋、2月:左衛門橋、3月:西河岸橋……」
と書き込まれていたと知って、加賀は取り乱します。なぜなら、それと同じメモが母の部屋にあったカレンダーにも書かれていたからでした。

REVIEW

東野圭吾原作「新参者」シリーズの完結編です。
今回、ついに加賀の母親が失踪した理由や、父親との確執の原因が明らかになります。 さらに、アパートで殺されていた押谷が訪ねたという演出家・浅居博美の過去を探るうちに、加賀は自分や母の過去に向き合うことになります。
「新参者」シリーズをずっと見てきたファンだけでなく、今回はじめて見た人でも楽しむことが出来る素晴らしい作品です。
中でも、今回の話の重要人物である演出家・浅居博美は、終始感情をおもてに出さずミステリアスな雰囲気を漂わせつづけていました。
しかし、一度だけ感情をあらわにするシーンがありました。
それは、ずっと昔に浅居博美と父親を捨てた母に詰め寄るシーンです。その表情は怒りに満ちており、人を睨み殺さんばかりに禍々しい圧力を放っていました。
この物語の発端となった父と娘の悲劇の根深さが、その表情からだけでも十分にうかがい知ることができました。

この作品の評価は星4とさせて頂きます。
叫びたくなるほど壮絶な体験をしてきた父娘と、亡き母の過去を知りたいと思い続けてきた加賀恭一郎の人生が交錯するヒューマンドラマは必見です。

 

K・Kazのこの映画の評価4

(本サイトでの、レーティング評価の定義)
☆☆☆☆☆(星5)93点~100点
☆☆☆☆★(星4.5)92点
☆☆☆☆(星4)83点~91点
☆☆☆★(星3.5)80点~82点
☆☆☆(星3)69点~79点

作品情報
『祈りの幕が下りる時』
監督/福澤克雄
出演者/阿部寛
溝端淳平
田中麗奈
山﨑努
松嶋菜々子
上映時間/119分
製作国/日本
公開/  2018年1月27日

 

 


映画 祈りの幕が下りる時 オリジナル・サウンドトラック [ (オリジナル・サウンドトラック) ]

 

 

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