その日の夜は、俺もアジア人の家に泊まることにした。目が覚めてからお互いの状況を確認したかったからだ。この家で寝床が必要な人数が増えてしまったので、やむを得ず奥さんには外泊してもらうこととなった。少し申し訳ない気がしたが、アジア人の「おいらたちかわいそう」という謎の説得で、奥さんが折れることとなった。
わけの分からない事態からの疲れで、俺はすぐに眠ってしまった。
・・・
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・・・才能に溺れてはならない・・・・・・それぞれの役割がある・・・
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・・・
目が覚めた。
身体を見ると、自分の物に戻っている。ソファで眠っていたはずだが、ベッドに場所が移っている。俺とアジア人の居場所が入れ代わっているのだ。
立ち上がり、リビングに向かった。元通りになったアジア人はまだ眠っていた。
「起きてくれ。ちゃんと戻ったみたいだ」
「・・・うわっ! ネイマール!?」
「俺たち元に戻ったんだ」
「・・・ん? あー そういえばそうでしたね ヘッヘッヘ よかったよかった」
アジア人はけだるそうに起き上がり、身体を少しずつ動かした。
「やっぱ自分の身体が一番ですね笑 彼女にも連絡しときます笑」
「・・・そういえば 夢で誰かに言われたよ。『自分の才能に溺れるな』って」
「・・・へー ・・・ほう 確かに自分の身体じゃないと仕事できないですからね」
・・・思い返してみると、最近は自身の移籍騒動でクラブに迷惑をかけてしまった。それは自分の願望にもとづく出来事だった。
「とりあえず解決ですかね。珍しい体験で面白かったです笑」
「・・・ああ あなたも頑張って」
「どもども」
アジア人と抱擁を交わし、俺は帰路についた。とても不思議なことだったが、自分の心境は前向きになっていた。
ふと彼の部屋の方に振り返ると、窓越しに笑顔でパソコンに向かうアジア人の姿が見えた。彼はあまり反省してなさそうだった。
終わり
もう締めるんですか!?
多少、最終回の感動はありましたがまだ物足りないです。スピンオフとかアナザーストーリーとか期待してます。
そうですね、ほまくもスピンオフとか外伝でも名称は何でもいいんですが、また続きが読みたいです。ありがとうございます。