writer/K・Kaz
今回はの邦画、『暗黒女子』のレビューをおとどけします。(一部ネタバレあり)
まずは、ストーリーからご紹介します。
STORY
ある夜のこと、お嬢様学校として名高い、聖母マリア女子高等学院の一室です。
文学サークルの定例会が開かれようとしています。
出席者は5人です。
会長の澄川小百合。
高校生にして女流作家の高岡志夜。
ブルガリヤからの留学生・ディアナ・デチェヴァ。
スイーツづくりが趣味の小南あかね。
優等生の二谷美礼の5人です。
定例会は、毎回、自作の小説を持ち寄って行われます。
今回のテーマは、「白石いつみの死について」。
実は、学院経営者の娘にして、全校生徒の憧れの存在であり、文学サークルの前会長・白石いつみは、校舎の屋上から謎の転落死を遂げていたのです。
いつみの親友でもあった小百合が進行役となって、一人ずつ「犯人」を告発する小説が朗読されるうち、志夜、ディアナ、あかね、美礼の4人が、いつみを殺す動機があったことが分かってきます。……
REVIEW
白石いつみは花壇に横たわって亡くなっており、彼女の手には何故かスズランの花が握られていました。
どの小説にもこのスズランが登場し、犯人を指し示す重要なアイテムとなっています。小説が一つ読まれるたびに、新たな事実が浮かびあがり、清楚で上品な女子高生たちのドロドロした内面や、ドス黒くて計算高い裏の顔が明かされます。
そして、4人が4人とも、部員の誰かを疑っていることが分かります。
また同時に、彼女達が読むのはあくまで創作小説なので、事実とは異なることや、故意に語られていないこともあります。
そのため、見ている側にとっては、話が進めば進むほど、何が真実なのか分からなくなり、惑わされてしまいます。
また、それぞれの個性にあわせて、語り口(文体)が違うのも面白いところです。
ラストは、「裏切りエンターテイメント」「イヤミスの傑作!」(イヤミス:読んでイヤーな気持ちになるミステリー、の意味)のキャッチコピー通り、一件落着して気分スッキリ、とは言えない予想を裏ぎられた展開になりました。
しかし、あえて言うなら「予想を覆す」と言われた時の定石通りの展開とも思えました。
―もし本当に、最後に全て真実が語られていたとしたなら、ですが。
深読みしすぎなのかもしれませんが、私にはまだ語られていない事や別の「犯人」あるいは「影で操っていた人物」がいて、別の真実が幾つか考えられるようにも思えました。
本作品の評価は星3.5とさせて頂きます。
しかし、ラストを丸ごと真相と思うか、別の真実を深読みしてみるかで面白さは変わってくるように思います。そういう意味でもこの作品は「観た後にモヤモヤする、後味が悪い“イヤミス”」と言えるかもしれません。
K・Kazのこの映画の評価3.5
監督/耶雲哉治
製作国/日本
公開/2017年4月1日
出演者/ 清水富美加
飯豊まりえ
清野菜名
原作/秋吉理香子『暗黒女子』
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