『浪人中に出会った医学部志望のせっかちすぎる友人の話。』jun

浪人中に出会った医学部志望のせっかちすぎる友人の話。

 

jun

 

 

これは僕が大学進学を目指し予備校で浪人をしていた頃のお話です。
一緒に勉強をするメンバーの1人に医学部志望の友人がいました。これは僕の主観でしかないのですが、医学部志望の浪人生というのは皆がイメージする[ガリ勉]みたいな人より、少し変わった人が多いです。
良く言えば[個性豊か]、悪く言えば[変人]。そんな感じです。

 

そして今回紹介する医学部志望の友人、ここでは名前を[せっかち君]と表現しますがコイツもまた変わったヤツで、どちらかというと変人です。もちろん医学部を目指しているわけですから勉強はとても良くできます。

 

ではこのせっかち君が変人扱いされる所以は何か。名前の通り、せっかちすぎるのです。
移動をするときは常に小走りです。特に時間に追われているわけではないのにせっかち君は常に何かに追われているように小走りをしています。まあそれだけならいいんですよ。特に誰に迷惑をかけているわけではないですから。
しかしこのせっかち君、小走りをしているときは大体人とぶつかります。歩行者の肩に当たりまくりなんですよ。もう迷惑でしかないです。一緒に行動している僕を含めたメンバーが平謝りする毎日…。

 

これだけではありません。せっかち君はせっかちすぎるため、自動ドアが開くのを待てません。
自動ドアが開き始めた瞬間にそのわずかな隙間から肩を当てながら予備校を出入りします。
傍から見たら毎回凄い音を立てながら自動ドアに突進している不審者ですよ。そんなヤツ見たことあります?
自動ドアもそろそろ壊れるんじゃないかとヒヤヒヤしていました。一回[ピー!]みたいな音が鳴って警備員さんが来ましたからね…。

 

そんなせっかち君を見て僕たちは思いました。
コイツを更生させないと大学どころかこのまま社会に出たら大変なことになる。この先何人に迷惑をかけるか分からない…。
そしてその日からこのせっかち君を普通の人間にするための特訓を開始しました。
移動するときは必ず歩くこと、そして僕らより前に出ないこと。人にぶつからないこと。自動ドアは必ず開ききってから入ること。これらを徹底させました。
普通に考えると当たり前すぎて書いている自分も情けなくなってきていますが、せっかち君にとっては当たり前ではないのです。
これを1週間続けました。せっかち君も毎日そわそわしながら頑張って特訓に食らいついていました。

 

そして特訓から1週間が経ったある日、せっかち君はとんでもない状態で我々の前に現れます。
なんと身体中に蕁麻疹が出ていたのです。
僕たちは「何か変な物でも食べたか?笑」と茶化していましたが、病院に行った結果、蕁麻疹の原因は[過度なストレス]とのこと。
そしてせっかち君は言いました。
「こんな生活…もう無理ぃぃ!!」
そして風のように走り回っていました。

 

僕たちはその日からせっかち君の更生を止めました。すると、蕁麻疹はみるみるうちに良くなっていきました。
ああ、もう更生は無理だ。あれが彼の本来の生き生きとした生態なんだ。個性なんだ。呆れながらも我々はそう思い込むようにしました。

 

せっかち君は今日も元気に道行く人とぶつかりまくり、自動ドアに突進しているのでした。

 

 

作者紹介

jun

ライターです。北海道在住ライターのjunです。
ジャンル問わず、様々な執筆に挑戦中です。
おもしろいネタ記事も得意です!

 

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