ゴルゴもやもや賞状事件

中学生の時の話です。担任の先生が角刈りのごつい体育教師で、携えた太い眉毛からゴルゴと呼ばれていました。ゴルゴは若干うっとうしかったですが、正義感の強い頼れる大人として慕われていました。

そのゴルゴが結婚をすることになり、クラスのみんなで祝福のメッセージを撮影しようという話が持ち上がりました。メッセージはサプライズのほうが面白いので、ゴルゴの披露宴の当日まで隠しておき、会場のスタッフにビデオで流してもらう手筈を考えました。

放課後はみな部活とかがあるので、たまたまゴルゴがいなくなった自習時間にメッセージを撮影していたら、タイミング悪くゴルゴが教室に入ってきました。なんとかカメラを隠すことはできたのですが、着席していなかったのは明白でした。以前からろくに授業を受けてないクラスだったこともあり、激怒したゴルゴが、数ヶ月前に生徒たちが獲った球技大会の賞状を破り捨てました。学校はきちんと勉強をする場所であり、クラスが浮かれている状況への罰だったのですが、さぼってる理由が担任へのお祝いだったので、僕たちは少し後味が悪い思いをしました。

月日は流れ披露宴の当日、生徒たちからのビデオメッセージが会場で流され、その後に副担任から事件の日のフォローも入り、後日にゴルゴからこの件の話をしてきました。学級の賞状を担任が破るというのは一大事なので、ゴルゴはなんて説明するんだろうという、若干の期待が教室に漂っていました。

「お前らが自習をさぼってたのは間違いないけど、まあ俺が悪かった。すまない。いやーでもこの話、道徳の教科書に載るかもな。『破られた賞状』っていうタイトルで笑」

うん。え? なにそれ。それでうまいこと言ったつもりなの? 普通に謝罪のみでよかったのでは? クラスは浅い霧のような雰囲気に包まれ、その時はじめて本物のゴルゴに殺されてくれないかなと思いました。

基本的にはいい先生でしたが、この1件だけ妙に記憶に残っています。

Twitter始めました。
@axMp6nIB7iCfxbj

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